一夜明けて ~3月12日 震災翌日~

~3月12日 震災翌日~

 

大震災の翌日、その日の朝は前日とは打って変わって朝から晴れていました。

気温も3月にしては高く、「こんな日が続いて欲しい」そう思わずにいられないほどでした。

そして、地震が起きたのが金曜日だったので、翌日から二日間は仕事も休みです。

これは片付けをする時間ができて助かります。

電気が来ていないので、明るい時間帯に片付けをしないといけません。

 

しばらくは余震の心配があるので、このままリビングで生活することにしました。

そこでまずリビングを片付けます。

 

前日も確認しましたが、台所をみると、ほとんど何も落ちていません。

食器を入れている戸棚の扉も一つも開いていません。

またリビングも、私は音楽が好きなのでCDやDVDをリビングに多数置いているのですが、

雑に積み重ねていたものは崩れたものの、CDラックやDVDラックに入れたものは全く崩れていません。

考えられるのは、マンションの立っている方向と、ラックを置いている壁の方向です。

マンションの廊下の伸びている方向には揺れにくいと聞きました。

私の場合、たまたま置いた方向がよかったのでしょう、

リビングのラックだけでなく、書斎の本棚なども、揺れの大きさの割には被害が少なくて済みました。

 

片付けもさることながら、気にしなくてはいけないのは食糧です。

おそらく、物流も止まって生活物資を買えない状況がしばらく続くでしょう。

食糧は、一人暮らしなので、そんなに大量には消費しません。

家にある分で、なんとかしばらくはやっていけそうです。

次に調理手段。

カセットコンロがあり、ボンベも一人暮らしで使用する分には当分間に合うストックがあります。

これも大丈夫そうです。

 

状況がわからないので、携帯電話のワンセグテレビで観てみます。

 

各地のひどい状況が改めて映し出されています。

 

そうしているうちに、携帯電話の充電が切れてきました。

以前、出張時に買っておいた、乾電池使用の充電器で充電します。

思ったよりワンセグ機能は充電を消耗するようです。

気をつけないといけません。

テレビを携帯電話で見るのは食事時の決めた時間だけにすることにします。

電気がいつになったら復旧するか、まだわかりませんので。

 

そうしているうちに、ごく親しい友人のことが気になっていました。

確かこの週末は、お祖母さんの葬儀で実家に戻っているはず。

実家があるのは、県内でも揺れがひどく、震度7を記録したところ。

確か往復する分のガソリンはあるはずです。

携帯電話もメールも通じないので行ってみることにしました。

内陸部なので津波は来ていない場所です。

 

高速道路はもちろん使えません。

一般道路を進みます。

意外と空いています。

途中、ガソリンスタンドの前を通ると、すでに長蛇の列。

横目に見ながら進みます。

 

冬場に白鳥が飛来することで有名な湖の近くを通ります。

その近くの広場を見ると、すでに自衛隊のトラックが集まっています。

また、他県のパトカーも集まっています。

世を徹して来てくれたのでしょうか?

関西の方から震災の翌朝には到着している、思わず涙が出そうになります。

 

友人の実家のある辺りは、意外に少ない被害でした。

震度7でも、全壊している家はほとんどありません。

ただ道路の損壊は場所によって酷いものがありました。

特に橋の付け根はどこも段差になっています。

その都度、徐行して注意して通ります。

 

友人の実家に行くのはこれが初めてではありません。

道路の損壊や回り道はあったものの、いつもとそれほど変わらない時間で到着しました。

 

しかし、家には人の気配がありません。

葬儀のためお寺さんに行っているのでしょうか?

それとも避難所にいるのでしょうか?

 

周囲を一回りして、お寺さんの方にも行ってみて、もう一度お宅に向かいます。

すると中から人が出て来ました。

友人です。元気そうです。

 

持ってきた灯油とペットボトルの水を渡します。

葬儀を行うはずだった寺の被害がひどく、葬儀を急遽自宅で行うことになったとのこと。

ご両親も入り、しばし話をします。

せっかく伺ったので仏様にもお線香をあげて。

 

ある意味よかったのかもしれません。

亡くなったのは震災の数日前。

3月11日の本震よりも二日前、3月9日に前触れと言える大きな揺れがありましたが、

それよりも前に亡くなっていました。

ですから、この一連の震災は全く知らずに旅立たれたのです。

この震災に遭わなかったことがよかった、心からそう思えました。

 

暗くならないうちに自宅に戻ることにします。

 

帰宅して、ほっと一息。

こういう時は、人はトイレに行くもの!?

そしてトイレで用を済まし流そうとすると…

 

出ません。水が。

 

その時になって初めて気づきました。

 

マンションなので、高いところにあるタンクに一度ポンプで汲み上げて、

それを各戸に供給しています。

電気が止まっているので、ポンプも動かないのです。

最初のうち出たのは、タンクにまだ水が残っていたから。

 

その時点で気づいて水を貯めておけばいくらかでもしのげたでしょう。

いや、早めに気づいた方はそうしたことでしょうね。

仕方ないので、生活用水(トイレ用)に近くの川から水を汲んで来ることにします。

飲み水はペットボトルの水がまだあったので大丈夫です。

風呂はガスが止まっているので、いずれにしても入れません。

 

この状態がこれからどれだけ続くのでしょうか?

 

とりあえずこの土日は片付けに集中することにしました。

月曜になれば仕事で常駐している先に出社しなければいけません。

その会社の状況はわかりませんが、

状況や今後の対応を知るためにも、とにかく行ってみないと。

 

そうしているうちに夜になりました。

明かりもなく、余震も続いているので、早く休むことにします。


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どん底からの復活者 斎藤 輝男

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東日本大震災は、私から仕事を奪い、どん底に突き落としました。
しかし、私は必ず復活してみせます。このブログでは、その軌跡を残していきます。

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