あの東日本大震災から5カ月。
まだまだ震度5程度の余震に心震わせる日々が続いていますが、
それでも復興は少しずつ前進を続けています。
ただ、背中をそっと押すはずの後押しが、
「突き飛ばしている」ように思われる出来事も散見されるようになってきたのも事実です。
避難所と仮設住宅のいまについて今日は書きたいと思います。
■避難所の閉鎖
震災から5カ月が経ち、被災地各地で避難所の統合や閉鎖が多くなってきました。
背景には、仮設住宅への移転(移住?)が進み、
避難所に住む人が少なくなってきたことが挙げられます。
ただ、それだけではありません。
数家族が残っているのに閉鎖を決めた避難所もあります。
理由として「自立を促すため」ということが言われます。
確かに理論としては正しいでしょう。
では現実としてはどうでしょうか?
仮設住宅に住まない理由については、
このブログでも何度か取り上げてきました。
ここでまず書きたいのは、「自立」ということです。
自治体は「自立を促すため」と言います。
では、「自立」には何が必要でしょうか?
それは、「収入(を得る手段)」と「生活の場」ではないでしょうか。
「生活の場」とは、決して住まいだけではありません。
病院であったり、商店であったり、そしてコミュニティであったり。
特に病院については、
仮設住宅に住まない理由として大きな理由の一つとなっていることを以前も書きました。
人が人として自立して生きていくためには、
単に建物としての住宅だけでなく、生活環境も大切であると考えますが、
いかがでしょうか。
そして「収入(を得る手段)」。
特に沿岸の被災地では、津波による被災で雇用の場がないことも書きました。
また仙台市では、生活再建の資金となる義援金の配分率も未だ20%を切っている状態。
これで自立できますか?
支援は継続的かつ包括的でなければいけないと思います。
市町村が出来ないのであれば県が、県が出来なければ国が、
包括的な支援が出来るよう、全体をまとめる立場です。
これを抜きにして、単に「自立を促すために避難所を閉鎖する」というのは
正しい道と言えるでしょうか?
■仮設住宅が余っている?
仮設住宅に大きく二つの種類があることをご存知でしょうか?
本来の仮設住宅の他に、「借り上げ仮設」というのがあります。
被災者が民間の賃貸住宅に入居し、これを自治体が借り上げて仮設住宅の代わりとするものです。
この方法のメリットは、仕事の都合など、入居者の便利の良い場所を選べる点。
そして、本来の仮設住宅と異なり、2年間の退去期限を超えても退去する必要がないこと。
単に自治体が借り上げを止めるだけで、入居者自身が家賃を負担すればよい、
ということになります。
これらの条件、利便性が人気を博し、
特に民間の賃貸住宅の多い宮城県仙台市でこの現象が顕著です。
その結果、当初予定していた(自治体が用意する)仮設住宅に余剰が出るという事態に。
これについては、原発からの避難生活を余儀なくされている
福島県の被災民の方たちを受け入れることも検討されているようですが、
今後発生する災害の復興計画を考える上で見逃すことが出来ない点かもしれません。
■孤独死をなくせ!
震災後に問題となっている現象の一つに孤独死があります。
特に、仮設住宅に移った後に、一人暮らしのご老人が。
仮設住宅では、異なる地域から被災者が集まることも多く、
そのために見知らぬ人同士が隣人となることも少なくありません。
このことが孤独死を増やす一因となっているとも言われています。
このような事態を防ぐため、仙台市内のある仮設住宅では
「地域単位での申込みに限る」としたところもありましたが、
それはそれで敷居が高く、被災地域住民の総意を得ることが出来ずに申し込めない、
という事態も発生し、結局地域単位でない申し込みも可とするようになった経緯もありました。
しかし住民たちも手をこまねいているわけではありません。
仮設住宅に自治組織が相次いで発足しています。
といっても、現時点では、被災前の地域のつながりが存続している
(つまり、地域単位で入居している)仮設住宅が中心のようですが、
自治会が出来ることにより、外部からの支援も入りやすくなり、
住民活動が活発になっているようです。
入居戸数が少なすぎたり、多くの地域から見ず知らずの住民が集まったりした仮設住宅では
まだまだ自治会の設立は遅れがちで、「復興格差」が出来つつあることも確かであり、
今後の改善が望まれるところです。
■仮設住宅は2年たったら退去しないといけない?
原則はそうですが、去る8月7日に枝野官房長官が被災地を視察した際に、
「2年以内で退去できる地域は多くない」と語り、
入居期間を過ぎても退去を求めない意向であるとの報道がありました。
柔軟な対応が期待されるところです。
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